IQOS・ニコチンパウチは歯周病やインプラントに影響する?

紙巻きタバコが歯周病を悪化させ、インプラント治療にも悪影響を及ぼすことは、多くの研究から分かっています。
また、喫煙が口腔がんの重要なリスク因子であることもよく知られています。
では、IQOSなどの加熱式タバコや、最近増えている「ニコチンパウチ」はどうなのでしょうか。
「新しい=安全」ではありません
IQOSやニコチンパウチは比較的新しい製品なので、紙巻きタバコのような長期間の研究データはまだ十分ではありません。
しかし、「長期データがない=安全」ということではありません。
特に歯科で注意したいのがニコチンです。
ニコチンは血管や細胞、炎症反応、骨代謝などに影響を与えることが知られており、歯周組織の健康や傷の治癒、
インプラント周囲組織を長期間安定させるという点からも、決して好ましいものではありません。
ニコチンパウチは口の粘膜に直接触れます
ニコチンパウチは唇と歯肉の間に入れ、一定時間そのままにして使用します。
つまり、ニコチンを含む製品を口腔粘膜に直接、繰り返し接触させることになります。
最近の研究では、使用する場所に白色病変などの粘膜変化が認められたという報告もあります。
現時点では、「ニコチンパウチが口腔がんを起こす」と断定できるだけの長期データはありません。
しかし反対に、「タバコの葉が入っていないから安全」と考える根拠もありません。
大学院時代に印象に残った研究
私は大学院時代に、がんの研究をしていました。
その頃、世界の一部地域で、タバコなどを含むものをガムのように噛んだり、口の中に長時間置いたりする習慣と、
口腔がんとの関係についての研究を知りました。
現在では、こうした無煙タバコなどと口腔がんとの関連について、多くの研究があります。
ここから分かる大切なことは、「煙を吸わなければ安全とは限らない」ということです。
インプラントや自分の歯を長く守るために
IQOSやニコチンパウチが紙巻きタバコとまったく同じ危険性を持つ、と現時点で断定することはできません。
しかし、「紙巻きタバコより安全か?」ではなく、「何も使用しない場合と比べてどうなのか?」
という視点で考えることが重要です。
特に歯周病治療中の方、インプラント治療を受ける方、すでにインプラントが入っている方には、
紙巻きタバコだけでなく、加熱式タバコやニコチンパウチについても、できるだけ使用しないことをおすすめします。
新しいから安全なのではなく、新しいから長期的な影響がまだ十分に分かっていない。
これが、現在の段階で患者さんに知っておいていただきたいことです。




